※本記事には広告(Amazonアソシエイト)が含まれます。商品選定は訪問看護師としての推薦に基づいており、広告の有無で内容を変えることはありません。

床ずれは、今始まった病気ではありません。

今の要介護者のご家族——お子さん世代——には、ご自身の祖父母やご両親の時代、まだ医療や介護が十分でなかった頃に、「辛そうな傷で苦しんでいた」記憶を持っている方が少なくありません。具体的なことはご存じなくても、「なんとなく怖い」「できたら大変だ」という感覚をお持ちの方は、本当に多いです。

その感覚は、決して間違っていません。床ずれは、できてしまうとご本人もご家族もつらい傷です。だからこそ、できる前に準備をしておくことが、何より大事だと思っています。

「予防が大事なのは分かった。でも、結局なにを買えばいいの?」

訪問先のご家族から、よくこう聞かれます。

床ずれ(褥瘡:じょくそう)の予防の基本は、別の記事にまとめました(→ 床ずれ(褥瘡)の予防と対処法)。 体位変換・スキンケア・栄養という「3本柱」のお話です。

ただ、ご家族からすると「で、具体的にどのマットレスを?」「クッションって何が違うの?」というのが、一番知りたいところだと思います。

この記事では、訪問看護師として20年、たくさんのお宅でいろいろなグッズを見てきた私が、現場で本当に手応えを感じているものを絞ってご紹介します。一般論ではなく、「私が自分の親に使うならこれ」という目線で書きました。


床ずれ予防グッズは大きく5つ

ひとくちに「床ずれ予防グッズ」と言っても、役割が違うものがいくつもあります。

  1. 体圧分散マットレス(エアマット) ← 寝ている時間の体重を分散
  2. ポジショニングクッション ← 横向き姿勢を支える
  3. スキンケア用品 ← 皮膚を清潔・しっとり保つ
  4. 高吸収・密着型おむつ ← 蒸れと「しわ」を減らす
  5. 体位変換補助具(スライディングシート) ← 介助する人の腰も守る

順番に、私が現場で使っているものをご紹介していきます。


❶ 体圧分散マットレス(エアマット)

寝たきりに近い方の床ずれ予防は、まずマットレスです。ここがいいか悪いかで、ほぼ勝負が決まると言ってもいいくらい大事。

私がずっと推している一台:ケープ「ラグーナ」

正直に言うと、私は何年経っても、これ以上に好きなエアマットに出会えていません。

ラグーナ(ケープ社)の良いところは、「スモールチェンジ」という仕組みです。マット内部の空気が少しずつ動いて、体を大きく傾けることなく除圧してくれます。

何が嬉しいかというと、

  • 船酔いしにくい — 体を大きく揺らさないので、ご本人がしんどくならない
  • 転落事故が起きない — 大きく傾くタイプだと、ベッド端からズリ落ちるヒヤッとがあるのですが、ラグーナはそれが少ない
  • 眠っている方を起こしにくい — 夜間も静かに除圧してくれる

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介護保険レンタルが基本

エアマットは新品で買うと数十万円する世界です。 要介護2以上であれば、介護保険のレンタルで月500〜1,000円ほどで借りられます。ラグーナも、多くの福祉用具事業者でレンタル可能です。

詳しくはこちら → 福祉用具レンタルの使い方

自費で備えたい方へ

要介護1以下の方や、「保険を待たずに今すぐ」という場合は、自費購入できる体圧分散マットレスもあります。

  • モルテン社の体圧分散マットレス(ウレタン+エアの併用タイプなど)
  • アイ・ソネックス社のロホクッション系の派生品

どれを選ぶにしても、**「スモールチェンジ機能があるか」「体重設定ができるか」**を確認するのがポイントです。

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迷ったら、ケアマネさん・福祉用具専門相談員さん・訪問看護師に相談してください。体格と寝姿勢で合うマットは変わります


❷ ポジショニングクッション

横向きで寝る・半身を起こす・膝の下にかませる——こういう「姿勢を保つ」ためのクッションです。

丸めたバスタオルでも代用はできますが、専用品はズレにくく、形が崩れにくいのが違います。

円背の方にぜひ使ってほしい:ナーセントEXユー

特に、**背中が丸くなってしまった方(円背:えんぱい)**におすすめしたいのが、アイ・ソネックス社の ナーセントEXユー です。

円背の方は、仰向けで寝かせると背中が浮いてしまい、肩甲骨やお尻に体重が集中しがちです。ナーセントEXユーは、その背中の隙間にぴったり沿ってくれるので、体重を「面」で受けられるようになります。

訪問先で導入したご家庭で「ご本人が初めて長く眠れた」と言われたこともある、私のおすすめ品です。

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横向き保持には別のタイプも

横向きで寝てもらうときは、背中・お腹・膝の間の3点を支えるのが基本です。

  • 背中:大きめのロングクッション
  • お腹側:抱き枕タイプ
  • 膝の間:薄めのウレタンクッション

「すべて専用品でなくてもいい」のですが、夜間ずっと使うものは専用品の方が長持ちします。


❸ スキンケア用品

皮膚を清潔に・しっとり保つことは、床ずれ予防の地味な、でも一番効くポイントです。

私の現場の一択:ハビナース 泡でさっぱりシリーズ

訪問先で繰り返し使ってきて、これがあるかないかでケアのラクさが全然違うのが、ピジョンタヒラの ハビナース 泡でさっぱり 清拭料

何がいいかというと、

  • 泡で出てくる — 容器を押すだけで、こすらず使える泡が出ます
  • 清拭剤なので拭き直し・洗い流しが不要 — 蒸しタオルで拭き取るだけでOK
  • ベッドの上で完結する — 入浴できない日でも、これで全身ケアできる

訪問先でも、「お風呂に入れない日はこれ」と決めているご家庭が多いです。皮膚への刺激が穏やかなので、毎日使い続けられるのが一番の利点だと感じています。

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補完的に使いたいもの

既存記事でも触れましたが、洗浄用と保湿用で1本ずつ持っておくと安心です。

  • 洗浄:コラージュフルフル泡石鹸(弱酸性・低刺激)
  • 保湿:白色ワセリン(処方の保湿剤がある方は併用OK)

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特に、おむつの中はどうしても蒸れます。陰部・お尻まわりは洗ったあとに薄くワセリンを塗っておくと、皮膚のバリア機能が保たれます。


❹ 高吸収・密着型おむつ

おむつ選びは、床ずれ予防に直結します。サイズが合っていないおむつは、それだけで床ずれの原因になります。

大きすぎるおむつは「しわ」になる

訪問先でよく見るのが、「お父さんに合わせて大きめを買っておいた」というケース。 ところが大きすぎると体との間に隙間ができて、しわになるんです。そのしわの部分に体重がかかると、皮膚が圧迫されて赤みが出てきます。

おむつによる床ずれは、おむつの中で起きるので、ご家族が気づきにくいのも怖いところです。

おすすめ:ライフリー のびーるフィット

ユニ・チャーム社の ライフリー のびーるフィット は、名前のとおり伸縮性があって、体にしっかり密着してくれるタイプです。

しわになりにくく、漏れにくいので、訪問先でも「これに変えたら、皮膚トラブルが減った」と言われることが多い品です。

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サイズ選びのコツ

  • まずはご本人の腰回りのサイズを測る
  • 「念のため大きめ」は逆効果。ジャストサイズを選ぶ
  • パッドを併用する場合は、パッドが折れていないか毎回チェック
  • 体重の増減があったら、サイズも見直す

おむつは消耗品なので、まとめ買いする前に1袋お試ししてから決めるのが安全です。

市町村のおむつ助成も忘れずに

意外と知られていないのですが、お住まいの市町村によっては、要介護者向けのおむつ購入費を助成する制度があります。

  • 助成額:月数千円〜1万円相当(市町村により大きく異なる)
  • 対象:要介護度や所得などに条件あり
  • 申請窓口:お住まいの市役所・町役場の介護保険担当課

「うちの自治体にあるかな?」と思ったら、ケアマネさんに聞くか、役所の介護保険窓口に問い合わせてみてください。年間で数万円の差になることもあります。


❺ 体位変換補助具(スライディングシート)

体位変換は床ずれ予防の3本柱のひとつ(→ 床ずれ予防の3本柱)。 ただ、ご家族だけで毎日2時間ごとに体位変換するのは、本当に大変です。

そこで使ってほしいのが、スライディングシート。 ベッドの上で体を「すべらせて」動かすためのシートで、ご家族の腰の負担が大幅に減ります

こんな場面で活躍します

  • 体がベッドの足元にズレてしまったとき、頭側に戻す
  • 仰向けから横向きに変えるとき
  • おむつ交換のとき、お尻の下にパッドを入れる

「持ち上げて動かす」のではなく、「すべらせて動かす」だけで、体への負担も介助者の腰への負担もぐっと減ります。

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価格も2,000〜5,000円ほどと手頃なので、介護保険を待たずに買える数少ないグッズでもあります。


訪問看護師が現場で見たヒヤッとする例

ここからは、現場で実際に経験した、忘れられないエピソードです。

「腰が痛いから車椅子で寝る」を続けたら

ある利用者さんのお宅でのことです。

その方は、寝起きに腰がひどく痛むので、「日中は車椅子に座っていた方がラクだ」とおっしゃっていました。それで、朝起きてから夜まで、ほぼずっと車椅子で過ごすようになっていたんです。

腰痛は確かに軽くなりました。でも、しばらくして訪問したとき—— お尻に床ずれができていたんです。

ご家族はとても驚いていました。「ベッドにいなかったのに、なぜ?」と。

理由ははっきりしています。車椅子の上でも、長時間同じ姿勢でいれば床ずれはできるからです。むしろ、座位の方がお尻に体重が集中するので、リスクは高いとも言えます。

「動かさない=ラク」ではない

このご家庭で起きたのは、「動かないと床ずれ、動かすと腰痛」というジレンマです。

ご家族は決して怠けていたわけではありません。ご本人が「ラクだ」と言うほうを尊重した結果、こうなってしまった。これは介護の現場で、本当によくあるケースです。

そのときに私たち訪問看護師がご提案するのは、

  • マットレスの工夫で寝起きの腰痛を減らす(エアマットや低反発マットへの変更)
  • 車椅子用の体圧分散クッションを使って、座っている時間の負担を分散
  • 1〜2時間に一度は立ち上がる・体を浮かすなどの「適度な離床」を組み合わせる
  • それでも難しいときは痛みのコントロールについて医師に相談

つまり、「ベッドか、車椅子か」の二者択一ではなく、両方をうまく組み合わせるのが正解なんです。

グッズはあくまで道具。生活全体を見て、適切な体位変換・マット・適度な離床のバランスをとることが、床ずれ予防の本当の核心だと、私は思っています。


価格別おすすめパターン

「とにかく予算を抑えたい」「ある程度しっかり揃えたい」「もう本気で予防したい」—— ご家庭の事情に合わせて、3つのパターンをご紹介します。

節約パターン(介護保険+最低限の自費)

項目 選び方 月額目安
エアマット 介護保険レンタル(標準品) 月 500〜1,000円
クッション バスタオルで代用 0円
スキンケア ハビナース 泡でさっぱり 1本 月 1,000〜1,500円
おむつ ライフリー のびーるフィット 月 5,000〜8,000円

月7,000〜10,000円で、最低限の予防体制が組めます。

標準パターン(推奨)

項目 選び方 月額目安
エアマット 介護保険レンタル(ラグーナ指定) 月 800〜1,200円
クッション ナーセントEXユーなど専用品(購入) 初期 1〜2万円
スキンケア ハビナース+ワセリン 月 1,500円
おむつ ライフリー のびーるフィット 月 5,000〜8,000円
スライディングシート 1枚購入 初期 3,000円

初期2〜3万円+月7,000〜10,000円。多くのご家庭でおすすめする組み合わせです。

本気パターン(すでに床ずれリスクが高い方)

上記+

  • 体位変換器(介護保険レンタル)
  • 車椅子用の体圧分散クッション
  • 訪問看護の頻度を週2〜3回に増やす
  • 栄養補助ドリンク(明治メイバランスなど)

ここまでくると、訪問看護師・ケアマネ・福祉用具専門相談員のチーム体制で組み立てるのが安全です。一人で抱え込まず、専門職に相談してください。


まとめ

  • 床ずれ予防グッズは 「マット・クッション・スキンケア・おむつ・補助具」の5カテゴリ
  • エアマットは ラグーナ(介護保険レンタル推奨)
  • 円背の方には ナーセントEXユー
  • スキンケアは ハビナース 泡でさっぱり が一本あると安心
  • おむつは サイズ命。ライフリー のびーるフィットでしわを防ぐ
  • スライディングシートで ご家族の腰も守る
  • 「動かさないとラク」は誤解。マット・離床・体位変換のバランスが本当の予防

床ずれは、ご本人もご家族もつらい傷です。でも、正しい道具を、正しい使い方で取り入れれば、ご家庭でしっかり防げます。

予防の基本(体位変換・スキンケア・栄養)はこちら → 床ずれ(褥瘡)の予防と対処法

介護保険でのレンタルの始め方はこちら → 福祉用具レンタルの使い方

迷ったときは、ケアマネさん・訪問看護師に「これでいいかな」と聞いてください。 ひとりで抱え込まないことが、何より大事だと、私は20年の現場で感じています。

おうちで、最期まで穏やかに過ごせますように。


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