「介護ベッド、買うと高いし、置き場所も困るし……」 「車いす、お父さんが使うかどうか分からないのに買うのは不安で」

訪問先でよく聞くお悩みです。

実はそのほとんど、介護保険を使えば月数百円〜でレンタルできます。買う必要はありません。

20年間、多くのご家庭で福祉用具の導入を見てきた私が、介護保険でレンタルできるものと、申し込み方、選ぶときのコツをまとめました。

介護保険でレンタルできる13品目

要介護認定を受けている方は、以下の福祉用具を1〜3割負担でレンタルできます。

要支援1・2/要介護1以上で借りられるもの

  • 手すり(工事不要の据え置きタイプ)
  • スロープ(段差解消)
  • 歩行器
  • 歩行補助つえ(松葉づえ・多点づえなど)
  • 自動排泄処理装置(尿のみ対応)

要介護2以上で借りられるもの

  • 車いす(介助用・自走用・電動)
  • 車いす付属品(クッション・テーブルなど)
  • 特殊寝台(介護ベッド)
  • 特殊寝台付属品(マットレス・サイドレール・ベッド柵など)
  • 床ずれ防止用具(エアマットなど)
  • 体位変換器
  • 認知症老人徘徊感知機器
  • 移動用リフト(つり具を除く)

※要介護1以下でも、医師の意見があれば例外的に借りられる場合があります(ケアマネにご相談ください)。

レンタルと購入、どっちがお得?

項目 レンタル 購入
介護ベッド 月 500〜1,500円 15万〜30万円
車いす 月 300〜800円 3万〜15万円
エアマット 月 500〜1,000円 5万〜20万円

結論:ほぼすべての福祉用具はレンタルの方がお得です。

理由は3つ。

  1. 体の状態は変わる — 今ちょうどいい車いすが、半年後には合わなくなることが珍しくありません。レンタルなら無料で交換できます。
  2. メンテナンスが無料 — 壊れたら業者さんが無償で修理・交換してくれます。
  3. 処分の手間がない — 使わなくなったら引き取ってもらえます。介護ベッドは粗大ゴミで出すのも一苦労です。

買い取りになるもの(特定福祉用具販売)

衛生面でレンタルできない以下の5品目は、購入扱いです。年間10万円まで、同じく1〜3割負担で買えます。

  • 腰掛便座(ポータブルトイレ)
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 入浴補助用具(シャワーチェア・浴槽手すりなど)
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具

申し込みの流れ(たった3ステップ)

ステップ1:ケアマネに「福祉用具が必要」と伝える

何が必要か迷っていてOKです。「段差でつまずく」「ベッドから起きづらい」など、困りごとを伝えるだけで大丈夫。ケアマネが合う用具を一緒に考えてくれます。

ケアマネがまだいない方は、こちらの記事をどうぞ → ケアマネジャーの選び方

ステップ2:福祉用具専門相談員と選ぶ

レンタル業者から「福祉用具専門相談員」という資格を持つ人が家に来て、実際に試しながら選びます。ここが一番大事です。

私が訪問先で立ち会うときは、必ず本人に乗ってもらう・寝てもらう・握ってもらう、までを確認します。カタログだけで決めないでください。

ステップ3:契約・搬入

書類にサインしてレンタル開始。最短で当日〜数日で搬入されます。

訪問看護師が現場で見てきた「失敗例」

失敗1:家族が勝手に選んで本人に合わなかった 「お父さん、これで歩いてね」と歩行器を渡しても、身長や握力が合わないと結局使いません。必ず本人と一緒に選んでください。

失敗2:ベッドの高さを低いまま使っている 介護ベッドは高さが変えられるのが最大の利点です。介助する人の腰が痛まない高さに設定するのを忘れずに。

失敗3:レンタルできるのに買ってしまった 「すぐ必要だから」とネットで介護ベッドを買った方がいました。介護認定が下りれば、月1,000円で同等のものが借りられたのに……もったいないです。

こんなときは相談してください

福祉用具だけでは家での介護が回らなくなったとき、訪問介護(ヘルパーさん)や家事代行を組み合わせると一気にラクになります。

私の訪問先でも「掃除や買い物まで手が回らない」というご家族が増えてきました。最近は介護保険外でも使える訪問介護・家事代行サービスがあり、保険の枠を気にせず頼めるのが助かります。

イチロウ(訪問介護・家事代行)を見てみる(※準備中:A8審査通過後に正式リンクに差し替え予定)

介護保険サービスと自費サービスをうまく組み合わせる考え方は、こちらにもまとめました。

まとめ

  • 介護保険で借りられる福祉用具は 13品目
  • ほぼすべて買うよりレンタルがお得
  • 申し込みはケアマネに相談するだけ
  • 選ぶときは必ず本人と一緒に
  • 保険で足りない部分は自費サービスと組み合わせる

「どれを借りればいいか分からない」で止まってしまう方が本当に多いのですが、ケアマネと福祉用具専門相談員に任せれば大丈夫です。まずは「困っている」と声を上げることから始めましょう。

住み慣れたおうちで、少しでもラクに過ごせますように。