※本記事には広告(もしもアフィリエイト)が含まれます。商品・サービスの紹介は、公式情報と市場での評価をもとに整理しています。広告の有無で内容を変えることはありません。制度や契約の個別の判断は、消費生活センター等の公的窓口にご相談ください。

「知らない番号の電話には出ないでね」

離れて暮らす親に、そう伝えたことはありませんか。そして、たいていその後には、こんな続きがあるのではないでしょうか。「そう言ったのに、また出ちゃったみたいで」。

先に、この記事でいちばんお伝えしたいことを書きます。電話に出たことだけで、うっかりしているとも、判断力が落ちたとも言えません。 家の電話が鳴れば出る——それは何十年もかけて身についた、ごく自然な習慣です。習慣は、注意ひとつでは変わりません。

だから、今日ご提案するのは「気をつけて」とお願いすることではなく、そもそも鳴らないようにしておくという、少し違う方向の備えです。

「見抜く」で守ろうとすると、しんどくなる

在宅で療養や介護が始まると、家に出入りする人が、それまでより一気に増えます。ケアマネジャー、訪問看護師、ヘルパー、福祉用具の担当者、訪問診療の先生。電話も同じで、事業所からの連絡が日常的にかかってくるようになります。

つまり、「知らない人からの連絡」が、暮らしの中で当たり前になっていくということです。そんな毎日の中で、届いた一本だけを「これはあやしい」と見分けるのは、正直に言って、かなり難しいことです。名乗られた事業所名が本当にその事業所のものかどうかは、電話口だけでは確かめようがありません。

さらに今は、犯人の側が「見抜かせない」ための手を打ってきています。警察庁は、こんな数字を公表しています。

令和7年中、特殊詐欺に利用された電話番号のうち、約75.5%が国際電話番号です (警察庁「みんなでとめよう!!国際電話詐欺 #みんとめ」)

詐欺に使われた電話番号の、4分の3ほどが国際電話の番号だった、ということです。日本の警察や役所、銀行を名乗る電話でも、表示される番号は「+」から始まる海外の番号かもしれない——そういう状況です。

ここから導かれる答えは、意外なほどシンプルでした。見抜くのではなく、繋がせない。 警察庁が呼びかけているのも、まさにその方向です。

① スマホには、国が推奨する無料アプリを入れておく

親がスマートフォンを使っているなら、まずはここから。

警察庁には「警察庁推奨制度」という仕組みがあり、詐欺対策のアプリが推奨対象として公表されています。2026年10月現在、公表されているのはこの2つです。

アプリ名 提供元 費用
詐欺対策 by NTTタウンページ NTTタウンページ ダウンロード・利用料ともに無料
詐欺バスター Lite トレンドマイクロ ダウンロード・利用料ともに無料

どちらも、詐欺に使われたことが分かっている番号からの着信を、ブロックしたり警告したりしてくれるアプリです。「無料」というところが、この対策のいいところだと思っています。お金がかかると「そこまでしなくても」と遠慮されてしまうことがありますが、無料なら「入れるだけ入れておこう」と言いやすい。

ただし、iPhoneとAndroidで、できることが違います。 警察庁の案内によると、国際電話の番号をまとめてブロック・警告する機能はAndroidだけです。iPhoneでは、詐欺に使われたことが分かっている番号への対応が中心になります(詳しくは警察庁のページで、機種ごとの違いを確認してください)。

もうひとつ、大事なお願いがあります。インストールは必ず、警察庁の公式ページからたどってください。 検索すると、「詐欺対策」という名前の似たアプリがたくさん出てきます。詐欺を防ぐつもりで、あやしいアプリを入れてしまっては元も子もありません。帰省したときに、親御さんと並んでスマホを見ながら、「これ入れておく?」と一緒に決める。それくらいの気軽さで十分です。

なお、警察庁は携帯電話について、こんな設定も呼びかけています。あわせて見直しておくと安心です。

  • 番号非通知の着信を拒否する
  • 電話番号を通知不可能な着信を拒否する
  • 電話帳に登録していない番号からの着信を拒否する
  • 留守番電話機能を活用し、録音メッセージで相手が分かってからかけ直す

ただ、「電話帳にない番号は拒否」にすると、病院や訪問看護、ケアマネジャーからの大事な電話まで届かなくなることがあります。設定する前に、かかりつけの病院・事業所・よく連絡をくれる人の番号を、電話帳に登録しておいてください。どこまで絞るかは、親御さんの暮らしに合わせて、一緒に決めるのがいちばんです。

② 実家の固定電話、今も必要ですか?

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたかったところです。

いちばん確実な守り方は、これです。鳴らなければ、出ることもありません。 携帯電話で家族や病院と連絡が取れているなら、固定電話そのものを手放すことが、いちばん親にやさしい答えになることがあります。

ただ、決める前に、親御さんと一緒に確かめておきたいことがあります。

  • この番号を、誰が知っているか——かかりつけの病院、訪問看護やケアマネジャー、役所などに、連絡先として固定電話の番号を伝えていないか
  • いざというとき、連絡が取れるか——携帯電話を持っているか。持っていても、着信に気づいて出られるか
  • この回線を、ほかに使っていないか——インターネット、見守りサービスや緊急通報の機器などが、固定電話の回線を使っていないか

在宅で療養や介護が始まっているご家庭ほど、固定電話がいろいろなところにつながっています。確かめるのは少し手間ですが、ここを飛ばすと、手放したあとで「大事な電話が届かなかった」ということになりかねません。

手放せるなら、休止か解約を

「解約したら、電話加入権がなくなってしまうのでは」——昔、加入権を買った世代なら、当然の心配です。

昔からの加入電話なら、「利用休止」という手があります。

NTT東日本の場合、やめ方は3つあります。使える方法は、電話の契約の種類で違います。

使える契約 電話番号 電話加入権 月々の料金 工事費
利用休止 加入電話・INSネット64 変わります 残せます(最大10年・5年ごとに更新) かかりません 3,300円〜
一時中断 加入電話・INSネット64・光回線電話など 同じ番号のまま — かかります 3,300円〜
解約 ひかり電話を含むすべて 使えなくなります 加入電話・INSネット64を解約する場合は失います かかりません 契約により異なります

ひかり電話には「利用休止」も「一時中断」もなく、やめるなら解約になります。

古くからの加入電話で、加入権を手放したくないなら「利用休止」。3,300円ほどで、加入権は残したまま、月々の料金がかからなくなります。番号を残したいかどうかは、親御さんの事情しだいなので、一緒に決めてください。

手続きの前に、病院や事業所に伝えてある連絡先を、携帯電話の番号に変えておくことも忘れずに。

📎 NTT東日本 電話の休止・解約(NTT西日本エリアの方は、西日本のサイトをご確認ください)

⚠️ ひかり電話の場合、ネットが止まることがあります

ここは、あまり知られていない落とし穴です。NTT東日本の案内には、こう書かれています。

ひかり電話をご解約されますと、ひかり電話対応機器のルータ機能が停止され、同機にインターネット設定をされていた場合、インターネットがご利用いただけなくなります(ギガスマートタイプを除く)。

実家で使っている機械が、電話とインターネットの両方を担っていることがあるのです。電話をやめたら、ネットも一緒に止まった——離れて暮らしていると、これは直しに行くのが大変です。

実家の電話が「ひかり電話」なのかどうか、先に確かめてください。 請求書か、契約先に電話すれば分かります。

③ 固定電話を残すなら、入口を狭くしておく

連絡先として欠かせない、携帯電話は使いにくい——そういうご家庭も多いと思います。残すと決めたら、今度は「鳴っても、つながりにくい」状態にしておきます。

国際電話を、無料で止めておく

「国際電話不取扱受付センター」という公式の窓口があり、固定電話の国際電話の利用を、無料で休止できます。

項目 内容
申込先 国際電話不取扱受付センター 公式サイト/電話 0120-210364(フリーコール)/郵送
費用 無料(郵送で申し込む場合の郵送料のみ自己負担)
対象 03・06 などから始まる10桁の固定電話
対象外 携帯電話(070・080・090)、IP電話(050)

止められるのは、KDDI(001)・ソフトバンク(0061)の国際電話の発信と、希望すれば海外からの着信です。「普段、海外の人と固定電話で話すことはない」というご家庭なら、失うものはほとんどありません。

ひとつだけ確認を。海外に住むご家族やお友達と、実家の固定電話でやりとりしている場合は、その通話もできなくなります。申し込む前に、親御さんに一度聞いてみてください。

「いつも留守番電話」にしておく

お金をかけずに今日できるのが、常時留守番電話の設定です。

かかってきた電話にはいったん出ない。用件を録音してもらって、聞いてからかけ直す。その場で話を進められないので、対策のひとつになります。ナンバーディスプレイを契約していれば、番号を見てから出るかどうかを決められます。

ただし、伝言が残っているからといって、本物とは限りません。 実際に、大手の会社などを名乗って留守電にメッセージを残していく詐欺も報告されています。折り返すときは、伝言で言われた番号ではなく、請求書や公式サイトに載っている連絡先にかけるようにしておくと安心です。

「せっかく電話くれたのに、悪いから」と気にされる親御さんには、こんなふうに伝えてみてください。「大事な用事の人は、メッセージを残してくれるから大丈夫だよ。折り返すときは、いつもの番号にかけようね」。

電話機を買い替えるなら、迷惑電話対策つきを

実家の電話機が10年選手なら、買い替えのときに選んでおきたいのが、迷惑電話対策の機能がついた電話機です。

呼出音が鳴る前に「この通話は録音されます」といった警告が相手に流れ、電話に出ると通話が自動で録音される——そういう仕組みです(機能の名称や動作は、メーカー・機種によって違います)。

この機能のいいところは、必要な設定をしておけば、通話ごとに録音ボタンを押す手間を減らせるという点だと思っています。「あやしいと思ったら録音ボタンを押してね」と頼まなくても、電話機のほうが働いてくれる。親御さんがそのつど操作する負担を減らせます。

そして、録音を嫌がる犯人が、通話を断念する効果が期待できます。親が「あやしい」と気づく前に、相手のほうが去っていくかもしれない——これが、いちばん親にやさしい守り方ではないかと思うのです。

選ぶときは、親が使う子機の文字やボタンの大きさも一緒に見てあげてください。機能が良くても、使いづらくて元の電話機に戻してしまっては、意味がなくなってしまいます。


それでも契約してしまったら——クーリング・オフと、188

備えても、すり抜けてくることはあります。もし親が何かを契約してしまったと分かったとき、慌てないために、日数だけ覚えておいてください。

取引の種類 クーリング・オフできる期間
訪問販売(自宅に来て契約) 8日間
電話勧誘販売(電話で勧誘されて契約) 8日間
特定継続的役務提供(エステ、語学教室など) 8日間
通信販売(通販・ネット注文) クーリング・オフはありません(下の「通販の返品」を参照)

(国民生活センター「クーリング・オフ」より。これ以外の取引にも期間の定めがあるものがあります)

上の取引でも、条件によってはクーリング・オフできない場合があります。 当てはまるか分からないときは、自分で決めつけずに、下の188で相談してください。

通販の返品は、販売店が決めた返品のルール(返品特約)があれば、それに従います。返品特約が書かれていない場合は、商品を受け取った日を含めて8日以内なら返品できます(返品の送料は買った側の負担です)。

クーリング・オフの日数は、申込書面か契約書面の、どちらか早いほうを受け取った日から数えます。

クーリング・オフの通知は、書面または電磁的記録(メールなど)で行います。はがきで出すときは、出す前に両面をコピーし、特定記録郵便か簡易書留で送ってください。普通のはがきでは「出した」という記録が残りません。コピーと送った記録は、一緒に保管しておきます。

そして、迷ったときに覚えておくのは、この3桁だけで十分です。

📞 消費者ホットライン 188(いやや)

かけると、お住まいの地域の消費生活センターや相談窓口を案内してもらえます。相談は無料です(窓口につながった時点から通話料はかかります)。

「これって詐欺なのかな?」と思ったら、はっきりするまで待たなくて大丈夫です。まずは、188に電話して相談できます。

お金の管理そのものが心配になってきたら

「一度だまされたから、もう通帳は預かる」——ご家族の気持ちとして、よく分かります。ただ、家族が全部を預かるか、何もしないか、の二択ではありません。

その間にある、全部でも、ゼロでもない仕組みを知っておくと、選べることが増えます。

日常生活自立支援事業——社会福祉協議会が行っている、判断能力が不十分になってきた方のための支援です(厚生労働省の説明ページ)。

  • 実施主体:都道府県・指定都市の社会福祉協議会(窓口は市町村の社協など)
  • 内容:福祉サービスの利用援助、日常生活上の契約や行政手続の援助、預貯金の出し入れなど日常的な金銭管理、定期的な訪問による生活変化の察知
  • 利用料:実施主体ごとに決まっています(厚生労働省のページでは、参考として訪問1回あたり平均1,200円。契約前の相談と、生活保護を受けている世帯は無料)
  • 利用できる人:判断能力が不十分になってきた方のうち、この事業の契約の内容を理解し、判断できる方
  • 支援の内容や訪問の頻度は、本人と相談して作る「支援計画」で決めます

私がこの事業でいちばん心強いと思うのは、「定期的な訪問による生活変化の察知」です。決まった間隔で、お金のことで訪ねてくれる人がいる。それは、離れて暮らす家族の目が、ひとつ増えるということでもあります。

もっと踏み込んだ支援が必要な段階かもしれない、と感じたら、地域包括支援センターに相談してみてください。成年後見制度も含めて、その方の状態に合った選択肢を一緒に考えてくれます。

親御さんと相談しておく、小さな約束

道具と制度を整えたら、最後は、家族のあいだの約束です。こちらが決めて渡すのではなく、親御さんと話しながら、暮らしに合うものを一緒に選んでください。たとえば、こんな約束があります。

  • お金の話が出たら、一度電話を切って、家族に相談する(その場で決めない、が詐欺へのいちばんの備えになります)
  • いつもと違う大きなお金をおろすときは、ひと声かけてもらう
  • 銀行のATM引き出し限度額を下げておく(窓口で手続きできます。不便にならない額を、親御さんと決めてください)
  • 急に「今日中に」と言われたら、断っていいと伝えておく

「私に電話して」と言うとき、「心配だから」ではなく「私が話を聞きたいから」と伝えると、受け取り方が変わります。一方的に管理されるのではなく、自分の考えを聞いてもらえる。その感覚は、たぶん思っているよりずっと大事です。

まとめ

詐欺から親を守る方法は、「気をつけて」とお願いすることではなく、入口を先に塞いでおくことでした。

  • 今の詐欺は見抜けない前提で考える(特殊詐欺に使われた番号の約75.5%が国際電話=警察庁・令和7年)
  • スマホには警察庁推奨の無料アプリを。インストールは必ず警察庁公式ページから(国際電話の一括ブロックはAndroidのみ)
  • 実家の固定電話は、まず今も必要かを親御さんと確かめる。手放せるなら、加入電話は「利用休止」で電話加入権を残せます(⚠️ひかり電話は休止がなく解約のみ。やめるとネットが止まることがあります)
  • 残すなら、国際電話の無料休止(0120-210364)+常時留守電、買い替えるなら迷惑電話対策つきの電話機
  • 契約してしまったら——訪問販売・電話勧誘・エステや語学教室などは8日、迷ったら188(いやや)
  • お金の管理が心配になってきたら、日常生活自立支援事業という「全部でもゼロでもない」選択肢がある

電話の設定や家族との約束は、早めに親御さんと相談しておけます。お金の管理に不安が出てきたら、利用できる支援を地域の窓口に相談してください。

守る力もまた、見守りの一部です。実家に帰る予定があるなら、電話機の前に立ってみてください。その一台が、いちばん無防備な入口かもしれません。


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