「ケアマネジャーって、誰でも同じじゃないの?」

最初はそう思っている方が多いのですが、実際はケアマネジャーによって在宅生活の質がまったく変わります。

20年間、多くのケアマネジャーと連携してきた訪問看護師として、「このケアマネさんがついていて良かった」と感じる方の共通点をお伝えします。

そして、多くのご家族がつまずくのは「どんな人がいいか」より前の段階——そもそも、どうやって探して、どうやって決めるのかというところです。この記事は、その順番どおりに並べました。


この記事でわかること

  • ケアマネジャーを探す3つのルート(要支援と要介護で窓口が違います)
  • 事業所を選ぶときに見るポイント
  • 良いケアマネジャーの条件
  • 初回面談で聞いておきたい質問(そのまま使える文例)
  • 「選べない」「断られた」ときの動き方
  • 変更のしかたと、角の立たない切り出し方
  • 費用はいくらかかるのか
  • よくある質問

ケアマネジャーは、何をしてくれる人?

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護保険のサービスを使うときの 設計者であり、窓口 です。

  • 本人・家族の希望と体の状態を聞き取る
  • ケアプラン(どのサービスを、どれくらい使うかの計画書)を作る
  • デイサービス・訪問介護・訪問看護・福祉用具などの事業所と調整する
  • 月に1回以上訪問して、様子を見て、プランを見直す
  • 状態が変わったとき、区分変更や新しいサービスの提案をする

つまり、介護が始まったあとに 「まず誰に相談すればいいか」の相談先 になる人です。だからこそ、相性と連絡の取りやすさが効いてきます。


ケアマネジャーはどうやって決める?——探し方の3ルート

その前に:要支援か、要介護かで窓口が変わります

認定の結果 担当する場所 呼び名
要支援1・2 地域包括支援センター(※居宅介護支援事業所が市町村の指定を受けて担当する場合もあります) 介護予防支援
要介護1〜5 居宅介護支援事業所のケアマネジャー 居宅介護支援

要支援と出た場合は、まず地域包括支援センターが窓口になります。ここから先の「事業所選び」の話は、主に 要介護1〜5 の方向けです。

ルート1:地域包括支援センターでリストをもらう(王道)

お住まいの地域の地域包括支援センターに連絡すると、居宅介護支援事業所の一覧 をもらえます。センターは特定の事業所の営業をする立場ではないので、中立に相談できるのが強みです。

聞き方の例:

「母が要介護2の認定が出ました。まだケアマネジャーが決まっていないので、この地域の居宅介護支援事業所を教えていただけますか。家から近いところと、医療との連携がある事業所を知りたいです」

「どこがいいですか」と聞くと、立場上はっきりは答えにくいことがあります。条件を先に伝える ほうが、実のある情報が返ってきます。

ルート2:入院中なら、病院の相談員(医療ソーシャルワーカー)に頼む

入院からそのまま在宅に移る場合は、病院の 地域連携室・患者相談窓口 に相談するのが一番早いルートです。退院日から逆算して、必要な事業所を並行して手配してくれます。

退院前カンファレンス(本人・家族・病院スタッフ・在宅チームが集まる話し合い)に、決まったケアマネジャーが参加してくれると、退院初日からの動きがまるで違います。

📎 あわせて読みたい:退院後の在宅生活、何を準備すればいい?

ルート3:市区町村の窓口・自治体サイトの事業所一覧

市区町村の介護保険課でも一覧をもらえます。多くの自治体はウェブサイトにも事業所一覧を掲載しています。「〇〇市 居宅介護支援事業所 一覧」で検索してみてください。

厚生労働省の 「介護サービス情報公表システム」 でも、全国の事業所を地域から検索できます。職員数・営業時間・加算の状況といった公表情報が確認できるので、リストを絞るときに便利です。


事業所を選ぶときに見る4つのこと

担当ケアマネジャーは、契約した 事業所が決めます(希望は伝えられますが、指名はできないのが一般的です)。だから、まず事業所選びです。

1. 距離——「近い」は思っているより効く

自宅から近い事業所は、何かあったときに立ち寄れます。遠方の事業所でも制度上は契約できますが、緊急時の動きやすさは距離に比例します。車で15〜20分圏内 をひとつの目安に。

2. 母体——どんな法人が運営しているか

  • 医療法人・病院系:主治医や訪問看護との連携がスムーズなことが多い
  • 社会福祉法人・社協系:地域の資源に詳しい
  • 民間・株式会社系:フットワークが軽い事業所が多い

どれが正解ということはありません。ただ、親の状態が医療寄り(点滴・在宅酸素・在宅での看取りを考えているなど)なら、医療との連携経験がある事業所 を意識して選ぶと、あとの調整が楽になります。

3. 人数——ひとり事務所か、複数体制か

ケアマネジャーが1人の事業所は、丁寧に見てもらえる反面、その方が休んだときに代わりがいません。複数名いる事業所は、担当が合わなかったときに 同じ事業所内で担当を替えてもらう という選択肢が残ります。

4. 「特定事業所加算」を取っているか

これは意外と知られていない見分け方です。特定事業所加算 を算定している事業所は、

  • 24時間連絡が取れる体制がある
  • 主任ケアマネジャー(経験を積んだ上位資格)が配置されている
  • 定期的な事例検討会や研修を行っている

といった体制の要件を満たしています。契約時の「重要事項説明書」や、先ほどの介護サービス情報公表システムで確認できます。

ただし——加算があるから良い、ないから悪い、ではありません。小さくても誠実な事業所はたくさんあります。あくまで「体制が整っているかどうかの目安のひとつ」として見てください。


良いケアマネジャーの条件

事業所が決まり、担当者と会ったあと。ここからが本題です。

1. 本人の「したいこと」を最優先に考えてくれる

ケアプランは「できないことを補う」だけでなく、「本人がやりたいこと・続けたいこと」を実現するためのものです。良いケアマネさんは、本人の希望をしっかり聞いてくれます。

2. 連絡が取りやすい

急に状態が変わったとき、すぐに連絡が取れるかどうかはとても重要です。電話・メール・LINEなど、連絡方法と対応時間を最初に確認しておきましょう。

3. 他の専門職と連携が上手い

訪問看護師・ヘルパー・デイサービスのスタッフ・医師——これらをうまくつないでくれるケアマネジャーは信頼できます。担当ケアマネが「連携が苦手そう」と感じたら要注意です。

4. 「ノー」と言える人

本人・家族の要望でも、サービス上限を超えていたり、不適切な場合には「それはできません」とはっきり言える人が適切なアドバイスができます。何でも「はい」と言う人は少し心配です。

5. 説明が「介護保険の言葉」のままで終わらない

区分支給限度基準額、単位、負担割合証——最初は何ひとつ耳になじみません。専門用語をそのまま置いていかない人 は、そのあとの説明も丁寧です。わからなかったら遠慮なく「それはどういう意味ですか」と聞いてみてください。その聞き返しへの反応が、いちばんの判断材料になります。

6. 本人に向かって話してくれる

家族だけを見て話すのではなく、本人の目を見て、本人に聞く。当たり前のようでいて、ここに差が出ます。介護保険法が守ろうとしているのは、その人が自分らしく暮らし続けることです。

7. 「困ったら連絡してください」が具体的である

「何かあったら言ってくださいね」で終わるか、「夜間はこの番号、土日はこちらに転送されます」まで言えるか。具体的な人ほど、実際に電話しやすい。そして、電話しやすさは在宅介護でいちばん効きます。


初回面談で聞いておきたい7つの質問

最初の顔合わせは、こちらが選ばれる場ではなく、お互いに確認する場 です。そのまま口に出せる形で並べておきます。

  1. 「連絡は、何時ごろまでなら大丈夫ですか。夜間や土日はどうなりますか」
  2. 「担当されている方は、今どれくらいの人数ですか」
  3. 「主治医とのやりとりは、どんなふうにしていただけますか」
  4. 「私(家族)は離れて暮らしているのですが、連絡はどんな方法が取りやすいですか」
  5. 「訪問は月にどれくらい来ていただけますか」
  6. 「状態が変わったとき、プランの見直しはどのタイミングでしていただけますか」
  7. 「もし合わないと感じたら、担当の変更はお願いできますか」

7つ目は聞きにくいかもしれません。でも、これを さらっと受け止めてくれる人かどうか は、けっこうな情報になります。

そして、契約書と重要事項説明書は必ずもらってください。連絡先・営業時間・苦情の相談窓口が書いてあります。


「選べない」ときは、どうする?

ここは正直に書きます。地域によっては、そもそも選べるほど事業所に空きがない ことがあります。担当できる人数には上限があり、ケアマネジャーの人手不足が続いている地域も少なくありません。

「2〜3か所に断られた」というとき、それはご家族のせいでも、断った事業所が冷たいわけでもありません。動き方はこうです。

  • 地域包括支援センターに、断られた事実をそのまま伝える。センターは地域の空き状況を把握しています。「〇〇と△△に断られました」と言うことで、探し方が変わります
  • 範囲を広げる。隣接する地区の事業所も契約できます
  • 入院中なら、病院の相談員に事情を伝える。病院からの依頼は動きが早いことがあります
  • 暫定的にでも決めて、あとから変えていい。「ずっとこの人」ではありません。まず介護保険のサービスを動かすことを優先して、合わなければ変更すればいいのです

決まるまでの間、サービスが使えないわけではありません(緊急性が高い場合の進め方は、必ず市区町村の窓口に相談してください)。


ケアマネジャーの変更は、遠慮なく

「担当のケアマネさんと合わない気がする」「連絡が取れない」「プランの説明がわかりにくい」——そう感じたら、変更を申し出て大丈夫です。

変更は珍しいことではありません。そして、変更を申し出たことで不利益な扱いを受けることはありません

変更には2つのやり方があります

① 同じ事業所の中で、担当者を替えてもらう

複数名いる事業所なら、これがいちばん手続きが軽い方法です。事業所の管理者に相談します。

② 事業所ごと替える

  1. 新しい事業所を探して、受け入れが可能か確認する
  2. 新しい事業所と契約する
  3. 市区町村に 「居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書」 を提出する(多くの場合、新しい事業所が代行してくれます)
  4. 今までの事業所に、変更する旨を伝える

順番のコツは、新しい受け入れ先を先に決めてから、今の事業所に伝える ことです。逆にすると、空白期間が生まれます。

「言い出しにくい」ときの切り出し方

角を立てずに伝えるなら、理由を人柄の話にせず、事情の話にする のがいちばん楽です。

「実家の近くの事業所にお願いすることにしました。これまでありがとうございました」

「医療の相談が増えてきたので、病院と連携のある事業所にお願いすることにしました」

「家族の都合で連絡の取り方を変えたく、別の事業所にお願いすることになりました」

言いにくければ、地域包括支援センターや市区町村の窓口に間に入ってもらう こともできます。「直接は言いづらいのですが」と相談して大丈夫です。それも仕事のうちです。

変更しても、サービスは止まりません

デイサービスも訪問看護も福祉用具も、そのまま継続できます。ケアプランを作る人が替わるだけです。「全部やり直しになるのでは」と心配して我慢される方が多いのですが、そこは大丈夫です。


費用はいくらかかる?

自宅で暮らしている方の居宅介護支援(ケアプランの作成・調整)は、介護保険から全額が給付され、利用者の自己負担はありません。

要支援の方の介護予防支援も同じく自己負担はありません。

つまり、ケアマネジャーに相談すること自体にお金はかかりません。「何度も電話したら料金が上がるのでは」と遠慮される方がいますが、その心配は不要です。

なお、ケアプラン作成費の自己負担については、制度改正の議論が続いている分野です。また、住まいの種類によって扱いが異なる場合があります。最新の取り扱いは、お住まいの市区町村の介護保険窓口またはケアマネジャーにご確認ください。

(ケアプランの費用とは別に、実際に使うデイサービスや訪問介護などのサービス費には、所得に応じた1〜3割の自己負担があります)

保険で埋まらない部分が出てきたとき

ケアマネジャーが組んでくれるのは、介護保険で使えるサービスのプランです。裏を返すと、保険の対象外になるものは、そもそもプランに入りません。

現場でよくお伝えするのは、たとえばこういうことです。

  • 通院の付き添い
  • 窓拭き
  • 家族が就労中の、長時間の留守番

「ケアマネさんに頼んだのに、断られた」——あるいは「ヘルパーさんに気軽に頼んだのに、できないと言われた」。がっかりされる方が、実際にいらっしゃいます。

でもそれは、意地悪でも手抜きでもありません。答えは、介護保険法のいちばん最初のページに書いてあります。

尊厳を保持し、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう ——介護保険法 第一条

私の言葉に訳すと、二行になります。

「その人らしさを守る」。そして「できることは、取り上げない」。

介護保険のサービスは、全部この考え方の上に立っています。ヘルパーさんが草むしりをしないのは、意地悪でも手抜きでもありません。ヘルパーさんの仕事は「何でも代わりにやること」ではなくて、あなたの『できる』を守りながら、できないところを支えること だからです。

法律が決めた、優しさの形なんですね。

その上で、暮らしには「それでも、誰かに頼みたい」部分が残ります。そこを埋めるのが、介護保険の外側にある 自費のサービス です。保険の中と外を分けて考えられるようになると、ケアマネジャーへの相談も、話が早くなります。

(保険で使えるかどうかは、お住まいの市区町村やケアプランの内容によって扱いが変わることがあります。迷ったら、担当のケアマネジャーに「これは保険で頼めますか」と、そのまま聞いてみてください)

👉 自費の訪問介護・通院付きサービスなら【イチロウ】 ※イチロウの対応エリアは、東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪・兵庫・京都です(2026年8月現在)。それ以外の地域では、同じような自費サービスを地元の事業所が行っていることがあります。担当のケアマネジャーに「保険外でお願いできるところはありますか」と聞いてみてください。


よくある質問

Q. ケアマネジャーは自分で選べますか?

事業所は選べます。 ただし、その事業所の中で誰が担当になるかは事業所が決めるのが一般的です。「女性の方がいい」「医療に詳しい方がいい」といった希望は、契約前に伝えておくと配慮してもらえることがあります。

Q. 何か所も問い合わせるのは失礼ではありませんか?

失礼ではありません。2〜3か所に問い合わせて比べる のは、ごく普通の進め方です。「他も見てから決めたいのですが」と正直に伝えて構いません。

Q. 要支援と要介護で、頼む先が違うのはなぜですか?

要支援の方は介護予防が目的なので、地域包括支援センターが計画を担当する仕組みになっているためです(居宅介護支援事業所が市町村の指定を受けて担当することもあります)。要支援から要介護に変わったタイミングで、居宅介護支援事業所に移ることになります。

Q. 変更の理由を聞かれたら、何と答えればいいですか?

正直に言う必要はありません。「家族の事情で」「連携の関係で」で十分通ります。理由の説明義務はありません。

Q. 何回も変更してもいいのですか?

回数の制限はありません。ただ、替えるたびに情報の引き継ぎは発生します。「合わない」の中身が 人柄なのか、事業所の体制なのか、そもそも希望が伝わっていないだけなのか——一度そこだけ整理してみると、次の選び方が変わります。

Q. 遠方に住んでいて、面談に立ち会えません。

電話やオンラインでの相談に対応してくれる事業所も増えています。離れて暮らしている家族がいること・連絡の取りやすい手段 を最初に伝えておくのが肝心です。月1回の訪問後に、様子をメールや電話で共有してもらう形をとっているご家庭もあります。

Q. 担当のケアマネジャーが辞めてしまいました。

事業所が後任を立てます。引き継ぎの内容に不安があれば、これまでの経過で大事だと思っていること を、こちらから改めて伝えてください。書き出して渡すのがいちばん確実です。

Q. 苦情はどこに言えばいいですか?

まずは事業所の管理者、次に地域包括支援センターか市区町村の介護保険窓口。契約時の重要事項説明書に、苦情相談窓口と国民健康保険団体連合会(国保連)の連絡先が記載されています。


まず、ここから

  1. 認定結果が 要支援 なら地域包括支援センターへ。要介護 なら事業所の一覧をもらう
  2. 距離・母体・人数を見て、2〜3か所に問い合わせる
  3. 初回面談で、上の7つの質問を聞いてみる
  4. 合わなければ、変えていい

ケアマネジャー選びは、一発で正解を当てるゲームではありません。動かしながら、合わせていくもの です。まず一歩目を踏み出せば、そこから先は相談できる相手がいる状態になります。


親の介護を始めるご家族におすすめの参考書

ケアマネジャーとの上手な付き合い方を学ぶには、 介護保険の仕組みを少し知っておく と話がスムーズです。訪問先で「読んでおけばよかった」とご家族からよく聞く、参考になる書籍をご紹介します。

「全部読まなくても、 本のもくじを眺めるだけでも 、ケアマネさんとの会話で出てくる言葉に慣れる」——これは訪問先のご家族から教わった、地味だけど効く工夫です。


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訪問看護師 みやみー

本記事は、訪問看護師として多くのケアマネジャーと連携してきた経験に基づいて書かれています。制度の運用や届出の様式は市区町村によって異なる場合があります。具体的なケアマネジャーの選択や変更手続きは、お住まいの地域包括支援センターや市区町村の介護保険窓口にご相談ください。

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