「急に親が倒れて、退院後どうすればいいか分からない」 「認知症が進んできたけど、誰に相談すればいいの?」
訪問看護の現場で、ご家族からこうした相談を受けることは本当に多いです。介護は ある日突然始まります。そして、最初の動き方を間違えると、ご家族もご本人も疲弊してしまいます。
この記事では、親の介護が始まったら最初の1週間でやるべき5つのこと を、20年間現場で見てきた視点でお伝えします。
1. 地域包括支援センターに電話する(最優先)
まず最初にやるべきことは、地域包括支援センターへの電話 です。
地域包括支援センターは、65歳以上の方の介護・医療・生活に関する相談窓口 として、各市区町村が設置している公的機関です。相談は無料、予約不要、秘密厳守です。
なぜ最優先なのか
- 介護保険の申請方法 を教えてくれる
- ケアマネジャー探し を手伝ってくれる
- 利用できるサービスの全体像 を無料で案内してくれる
- 虐待・認知症・経済的問題など、複合的な悩み もワンストップで相談できる
連絡先の調べ方
「お住まいの市区町村名 + 地域包括支援センター」で検索すると、担当エリアのセンターが見つかります。親御さんが住んでいる地域の管轄センターに連絡してください(同居していない場合でも、親御さんの住所地のセンターです)。
2. 要介護認定を申請する
介護保険サービスを使うには、要介護認定 を受ける必要があります。
申請の流れ
- 市区町村の介護保険課 または地域包括支援センターで申請
- 主治医の意見書(市区町村が医師に依頼)
- 認定調査員が自宅訪問して聞き取り
- 約1ヶ月で認定結果が郵送で届く
押さえておきたいポイント
- 申請日にさかのぼってサービスが使える ので、迷ったら早めに申請
- 認定を待たずに「暫定ケアプラン」でサービス開始も可能
- 要支援1〜2、要介護1〜5の7段階で結果が出る
要介護認定の詳細は 介護保険で利用できるサービス一覧 でも解説しています。
3. ケアマネジャーを決める
要介護1以上の認定が出たら、ケアマネジャー(介護支援専門員) を決めます。ケアマネは介護の司令塔です。
ケアマネが担当すること
- ケアプラン(介護サービスの計画書)の作成
- サービス事業所との調整
- 月1回の訪問とモニタリング
- 家族からの相談対応
失敗しない選び方
- 相性が合わないと感じたら変更可能(遠慮しなくてOK)
- 医療連携が強いケアマネか、介護特化型か、得意分野を確認
- レスポンスの速さ、説明の分かりやすさをチェック
選び方のコツは 失敗しないケアマネジャーの選び方 に詳しくまとめています。
4. 家族会議で役割分担を決める
ここが 一番揉める ところです。
兄弟姉妹がいる場合、「誰が・どこまで・どうやって」介護に関わるかを早い段階で話し合っておかないと、一人に負担が集中し、家族関係が崩壊 します。
話し合うべき項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| キーパーソン | 医療・介護の決定をする主担当者 |
| 金銭管理 | 親の年金・預金の管理者 |
| 通院・付き添い | 誰がどの頻度で対応するか |
| 緊急時対応 | 夜間・休日の連絡体制 |
| 費用負担 | 親の資産で足りない部分の分担 |
現場でよく見る失敗
「長男だから」「長女だから」と役割を押し付けて、後で揉めるケースが本当に多いです。距離・仕事・家庭の事情 を踏まえて、感情ではなく 現実的な役割分担 を文書化しておくことをお勧めします。
5. 在宅環境を整える
退院が決まった、あるいは在宅介護が始まる前に、住環境の準備 が必要です。
最低限チェックしたい項目
- 手すりの設置(トイレ・浴室・玄関・階段)
- 段差の解消(つまずき転倒の予防)
- ベッド周りの動線(介護ベッドのレンタルも可能)
- 滑り止めマット(浴室・ベッド脇)
- ポータブルトイレ(夜間のみの使用も有効)
介護保険で安くなる住宅改修
要介護認定を受けていれば、住宅改修費として20万円まで(自己負担1〜3割)の補助が出ます。手すりの設置や段差解消など、対象工事は決まっていますが、事前申請が必須 なので、ケアマネに相談してから工事を開始してください。
在宅療養の準備全般については 退院前に家族がやる準備チェックリスト もあわせてお読みください。
まとめ:最初の1週間でここまでやる
| 日数 | やること |
|---|---|
| 1日目 | 地域包括支援センターに電話 |
| 2〜3日目 | 要介護認定の申請 |
| 3〜5日目 | 家族会議で役割分担 |
| 5〜7日目 | ケアマネ候補と面談、住環境チェック |
介護は 長期戦 です。最初に急ぎすぎて家族が倒れてしまっては本末転倒。地域包括支援センターや訪問看護師などの プロを早めに巻き込むこと が、結果的に一番の近道になります。
一人で抱え込まず、公的サービスをどんどん使ってください。