退院する大切な方を家で迎えるために、こうして調べていることも、愛情のひとつだと私は思います。

楽しみな気持ちと、不安が入り混じっている方もいらっしゃるかもしれません。まずは、今いちばん心配なことから見ていきませんか。

退院後の暮らしは、人それぞれです。

  • 毎日の食事をどう用意しよう
  • ご本人がひとりでお風呂に入れないときはどうしよう
  • ご本人が夜、トイレに行くときが心配
  • 家族が留守にする間、ご本人はどう過ごせるだろう
  • 自分の仕事や暮らしと両立できるだろうか

いま気になっていることを、ひとつ選ぶところからでかまいません。「自分にできるだろうか」という迷いや、「うまく説明できないけれど心配」という気持ちも、そのまま病棟の看護師に伝えてみてください。

ここでは、退院前に共通して確認しておきたいことをまとめます。必要な準備は、ご本人の状態や家の様子によって違います。すべての項目をご家族だけで整えようとせず、病院のスタッフと「退院までに必要なこと」を一緒に確かめていきましょう。

医療・ケアの準備

ご本人が家に帰ったあとの暮らしを思い浮かべながら、わからないところを聞いてみてください。

  • 主治医や看護師に、食事・入浴・運動など生活上の注意点を確認し、書面でもらえるか聞く
  • 薬剤師に、退院後に使う薬・中止になる薬・飲み方・管理方法を確認する
  • 通院が難しい場合や、処置・体調管理などの支援が必要な場合は、訪問診療・訪問看護の必要性と開始日を病院に相談する
  • 家で必要な処置や医療機器の扱いは、担当者に教わり、困ったときの連絡先を確認する
  • ご本人の次の受診日と、退院当日の移動方法を確認する

毎日のご飯も、退院直後から必要になる準備です。まずは「ご本人が帰る日の食事を、誰がどう用意するか」から。

家にある食材を使う、家族で分担する、利用できる地域の配食・生活支援を尋ねるなど、方法はいろいろあります。宅配食も選択肢のひとつです。

食事制限や飲み込みに心配がある場合は、退院前に医師・管理栄養士・言語聴覚士などへ、食事の内容や形態を確認してください。「やわらかい」という表示だけで、ご本人に合うとは判断できません。

介護保険や支援の準備

「何を頼めるのかわからない」段階から相談できます。ご家族ができることに加えて、難しいことや休む時間も伝えてください。

  • 介護保険の申請が必要か、病院の相談員や市区町村の窓口に相談する
  • 担当のケアマネジャーがいる場合は、退院予定日と気になることを伝える
  • 訪問介護やデイサービスなど、必要な支援・開始日・費用を相談する

高齢の方の介護について、地域の相談先がわからない場合は地域包括支援センターへ。認定や支援の開始が退院に間に合うかも、早めに確かめておきましょう。

自宅環境の準備

道具は、最初から全部買いそろえなくてもかまいません。いま家にある物で使えるもの、配置を変えればよいもの、借りられるものを、病院のリハビリ担当者やケアマネジャーと確認しましょう。

  • ご本人が寝る場所からトイレまでの通り道、段差、足元の物を確認する
  • ご本人の起き上がり・移動・トイレ・入浴で、どこに手助けが必要かを病院で確認する
  • ベッド・手すり・歩行器などが必要な場合は、ご本人の状態や家の様子に合うものを専門職と検討する

福祉用具には、介護保険で借りられるものや購入の対象になるものがあります。利用条件があるため、購入や工事の前にケアマネジャー・福祉用具専門相談員・自治体へ確認してください。

緊急時の備え

何かあったときに、ひとりで判断を抱え込まないための準備です。

  • 医師・看護師に、早めに連絡する症状、受診や救急要請の目安を確認する
  • 日中・夜間・休日の連絡先と、つながらないときの対応を確認する
  • 決めた対応を、関わる家族や支援者と共有し、見つけやすい場所に置く

退院前の話し合いで伝えておきたいこと

退院前カンファレンスなど、病院と退院後の支援者が話し合う機会があるか、看護師や退院支援の窓口に聞いてみてください。出席が難しいときは、別の方法で希望や心配を伝えられるか相談しましょう。

「本人はどう暮らしたいか」「家族にできること・難しいこと」を、両方伝えてよい場です。入浴や留守中のことも、困りそうな場面をひとつ具体的に伝えると、必要な支援を考えやすくなります。

退院前に確認するメモ

  • いちばん気になっていること:
  • 病院で聞いておきたいこと:
  • 退院当日までに必要な準備と、手伝ってくれる人:
  • ご本人を迎えたあとの相談先と連絡先:

お手元の紙やスマートフォンに書いて、相談するときに見せてもかまいません。

ご本人を迎える準備には、ご家族が無理なく過ごすための準備も含まれます。 できること、誰かの手を借りたいことを、少しずつ分けていけたらと思います。わからないところを残したまま抱え込まず、このメモが、相談のきっかけになればうれしいです。

訪問看護師 みやみー

※この記事は、退院前の相談に役立てるための一般的な情報です。必要な医療・介護や利用できる制度は人によって異なります。個別の判断は、担当の医療者や相談窓口にご確認ください。